自律訓練法
自分でできるリラクセーションの方法の1つとして、「自律訓練法」というものがあります。
自己暗示によって体の筋肉の緊張をやわらげ、中枢神経や脳の機能を調整して本来の健康な状態へ心身を整えることを目的とした訓練法です。
自分の体の調子を整え、休息をとることで病気を予防するという考えが基になっていますが、現在では病気や不調の治療としてだけではなく、心身のコンディションを整えることでより健康になるための健康増進法や、能力を最大限発揮するための能力開発法として広い分野で活用されています。
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厚生労働省でも以下のように紹介されています。
(自律訓練法は)自己暗示によって体の筋肉の緊張を解きほぐし、中枢神経や脳の機能を調整して本来の健康な状態へ心身を整えることを目的とした訓練法です。1932年にドイツの精神科医シュルツによって体系化され、心療内科における代表的な治療法として広く使われています。疲労回復やストレスをやわらげるなどの効果があります。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-024.html#:~:text=%E8%87%AA%E5%BE%8B%E8%A8%93%E7%B7%B4%E6%B3%95%EF%BC%88%E3%81%98%E3%82%8A%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%93%E3%82%8C%E3%82%93%E3%81%BB%E3%81%86%EF%BC%89&text=%E8%87%AA%E5%B7%B1%E6%9A%97%E7%A4%BA%E3%81%AB%E3%82%88%E3%81%A3%E3%81%A6%E4%BD%93%E3%81%AE,%E5%BA%83%E3%81%8F%E4%BD%BF%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
「自己暗示」というのは、例えば「気持ちが落ち着いている」「楽に呼吸をしている」等の言葉を頭の中で繰り返し唱えることで、実際に気持ちを落ち着けてリラックスした状態を自分で作っていく、という意味合いになります。
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実際にカウンセリングの中でも、
- 緊張を感じやすい
- 緊張から、肩こりや頭痛、腹痛のような症状がある
- 不安を感じやすい
- いつも気を張っていて、帰宅するとドッと疲れる
というような方に自律訓練法をお伝えすることがあります。
自律訓練法のメリット
実際に自律訓練法をお伝えしていて、以下のようなメリット・使いやすさがあるなと感じています。
- 方法を覚えて、「自分自身で、自宅で実施できる」(これは「セルフケアができる」ということに繋がる大きなメリットです)
- 手順がしっかりと決まっていて、実施しやすい
- 寝る前の実施で睡眠の質を高める効果が期待できる
- 不安な時の「対処法」がわかると、不安が軽減することがある(「次に不安になっても、こうすれば大丈夫」と思えることはプラスです)
実施の手順では説明されていないことが多いですが、うまく実施するためのコツとして、「がんばりすぎない」ということがあります。
どういうことかというと、リラックスするために実施しているのに、「うまくやらなければ」「自己暗示がうまくいかない!」「もっと頑張らなきゃ」と考えると、体や気持ちは緊張して、リラックスの反対の状態となってしまうためです。
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そのため、私がカウンセリングで自律訓練法についてお伝えする際は、必ず以下のようなことをお伝えします。
「うまくできなくても気にしないでください」
「方法を読むと手足の暖かさや重たさを感じるように、とありますが、感じられない人もいます。『わかるまでやらなきゃ』と思わず、2~3分で一通りやってみてください」
「ふわふわする、脱力する、体が重い感じがする等、リラックスの感じ方は人によって違います」
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理想としては、カウンセリング中にカウンセラーと一緒に一度実践してみて、自分自身の「リラックスした感じ」はこんな感じなんだ、と体験してから、その感じを家でも感じられることをゴールにして実施できるとよりイメージがしやすいのではないかと思います。