セルフ・コンパッションとマインドフルネス

現代社会に生きていると、なかなか「ありのままの自分でいいんだ」と受け入れるのが難しく感じられることもあります。

「自分は特別で、平均以上だ」と思えないと、自分に価値を見出せないような気持ちを感じたことのある方も多いのではないでしょうか。

「セルフ・コンパッション」という言葉をご存知でしょうか?

中にはちょうどインターネットで検索して、この記事を読んでいらっしゃる人もいるかもしれません。

セルフ・コンパッションは、自分自身への批判や評価をやめて、ありのままの自分を受け入れるスキルです。

トレーニングをすることで、誰でも身につけることができると言われています。

セルフ・コンパッションとは

セルフ・コンパッションとは、直訳すると「自分への慈悲」「自分への思いやり」という意味となります。

アメリカの心理学者、クリスティーン・ネフ博士が自身の瞑想の体験から概念化したものがセルフ・コンパッションです。

「慈悲」という言葉からも分かるように、もともと仏教の考え方にも影響を受け、作られてきた概念です。

現在では科学的にも心の健康や人生の満足感によい影響があることが証明されつつあり、注目されているセルフ・ケアの1つの方法だといえます。

セルフ・コンパッション(自分への思いやり)の定義

セルフ・コンパッションには3つの要素が含まれていると定義されています。

  • 自分に優しくする
  • 誰しも経験することだと知る(共通の人間性)
  • マインドフルネス

自分に優しくする

 困っている人や友人に対してするように、自分自身を積極的に労ったり、慰めたりする

誰しも経験することだと知る(共通の人間性)

 人間は誰しも完璧ではなく、失敗することがあるという事実を受け入れる

マインドフルネス

 立ち止まって、今苦しんでいることに気づく

 「今ここ」で感じていることに意識を向ける

自分に鞭打って頑張るだけではなく、労わることも大切という考え方を知っておくだけでも、

セルフ・ケアにつながりそうですね。

呼吸に注意を向ける(基本)

セルフ・コンパッションの練習をしていく時、一番初めに取り組むとよいのは呼吸に注意を向けることです。

「マインドフルな呼吸」と表現されたりしますが、普通に深呼吸をするだけではなく、吸い始めてから、吐ききるまで、「空気が体に入ってくる感じ、肺が膨らむ感じ、空気が出ていく感じ、お腹がへこむ感じ」など、呼吸している体の感覚に集中しておこないます。

この時に、いろいろな考えが頭に浮かんでくるかもしれません。

「あ、これを片付けなきゃ」「終わったら何をしようかな」「あの仕事どうなったかな」などなど・・・

私たちがつい考えてしまうことは、実は「今ここ」ではなく、「過去のこと」や「未来のこと」がほとんどですね。

マインドフルネスの実践では、「今ここ」に意識を集中させたいので、思い浮かんだ考えは「そのまま」にして、また注意を呼吸に戻していきます。

何か他の考えが浮かんでも、その考えに注目せずに「こんな考えが浮かんだなぁ」と川の流れを眺めるように受け流してくイメージを持つと良いかもしれません。

1つ1つの考えにとらわれず、呼吸にだけ注意を向けていくことで、「今ここ」で感じていることに意識を向ける「マインドフルネス」な状態に近づいていきます。

5〜10分程度呼吸に注意を向けていると、いろいろな体の感覚に気がつくかもしれません。

心地よかったり、緊張している部分があったり、痛みがあったり・・・

心地よさを感じられれば、そのまま「心地よい感じ」に意識を向けてリラックスすることができます。

もし、緊張や痛みなど、不快な感じがあっても、追い払おうとせずにそのままを感じていられるように練習していきます。

大切なことは、1人で取組んでいる時に不快な感じがとても強くて「感じているのがこわい、無理だ」と思ったら、無理をしないことです。

練習について

セルフコンパッションの実践について、怖い気持ちが大きくなったり、不安があったりする場合は、カウンセリングで一緒に練習してコツを掴むこともおすすめです。

また機会がありましたらブログにもまとめてみたいと思います。