
こんにちは。
今回はカウンセラーの視点から、「トラウマ」と「PTSD」についてお話しします。
日常会話でもよく耳にする「トラウマ」という言葉ですが、専門的な意味での「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」の場合の「トラウマ」とは少し違うニュアンスで使われている場合もあります。
意味が混同されやすかったり、人によって違う意味合いで使用されたりしやすい言葉と言えるため、意味を整理してみたいと思います。
■ 日常で使われる「トラウマ」とは
日常会話で「トラウマ」と言うと、「忘れられない嫌な経験」や「苦手意識が強くなった出来事」を指すことが多いですよね。
例えば、子どもの頃に犬に吠えられて怖かった経験から、「犬が苦手になった」と言う場合、「犬がトラウマ」等と表現されることがあります。
こうした日常的な意味のトラウマは、多くの場合は時間の経過やポジティブな経験を積むことで自然と薄れていくことが多いです。
※しかし、最近では同じ体験をしても人によってショックの大きさや、その後の回復の度合いは違うと考えるのが一般的です。上記の犬の例と同じような経験であっても、ずっと心に残っていて辛い、と感じるならば治療を必要としているサインかもしれません。
■ PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは
一方、PTSD(心的外傷後ストレス障害) は、「時間が経てば自然に忘れる」というような自然な回復がうまくいかず、診断や治療が必要な状態を指します。
戦争、災害、事故、暴力など、命の危険を感じるような強烈な体験をきっかけに発症することが多く、以下のような症状が1か月以上続く場合に診断される場合が多いです。
- フラッシュバック:突然、体験した出来事が鮮明に蘇り、当時と同じ恐怖や苦痛を感じる。
- 回避行動:体験を思い出させる場所や人、状況を避ける。
- 過覚醒症状:常に警戒心が強くなり、眠れなかったり、イライラしやすくなったりする。
- 認知や感情の変化:自分を責める気持ちや、周囲への不信感、感情の麻痺など。
PTSDは「怖かった体験」だけでなく、「無力感」や「圧倒された感覚」等、「自分にはどうすることもできない」という感覚が強い場合に起こりやすいとも言われています。
■ 日常会話でで使われる「トラウマ」とPTSDの違い
・日常会話での「トラウマ」:嫌な経験からくる苦手意識や不安感。時間と共に和らぐことが多い。
・PTSD:命の危険を感じるような体験により引き起こされ、フラッシュバックや過覚醒、回避行動など、生活に支障をきたす症状が1か月以上続く。専門的な治療が必要な場合が多い。
■ 辛いときのセルフケア
・安心できる場所を見つける:
「セーフティプレイス」を作りましょう。自分が落ち着ける場所や、安心できる人の存在が心の安定に繋がります。
・リラクゼーション法を試す:
深呼吸、ストレッチ、瞑想など、自分に合ったリラックスできる方法を日常に取り入れてみましょう。
・感情を書き出す:
気持ちや考えを紙に書き出すことで、頭の中を整理し、感情から少し距離をとって客観的に見つめることができる効果があります。
■ 治療の手段
PTSDかもしれないと思われた場合は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。以下のような治療法があります。
・認知行動療法 (CBT):
フラッシュバックを引き起こす思考パターンを見直し、現実的な捉え方に修正することで、不安を軽減します。
・EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法):
過去の辛い体験を処理するための治療法で、特にトラウマ治療に効果があると言われています。
・薬物療法:
睡眠障害や不安感が強い場合に、不安を和らげ、睡眠を十分にとれるように、抗うつ薬や抗不安薬等の服用を勧められる場合もあります。
■ まとめ:
トラウマやPTSDは決して「弱さ」や「甘え」ではなく、誰にでも起こりうる心の反応です。特にPTSDは専門的な治療が必要な場合が多く、悩んでいる方は精神科や心療内科、カウンセリング機関に相談してみてください。
自分を責めるのではなく、「助けを求めること」も立派なセルフケアです。
心の健康を守るために、無理せず自分を大切にしてくださいね。