子どものほめ方が分からない時

こんにちは。

今日は、子どものほめ方について、心理士の視点からお話ししたいと思います。

ほめ方一つで子どもの自己肯定感ややる気が大きく変わることもありますが、実際には「ほめるのが苦手で…」「咄嗟にほめ言葉が出て来ないんです」などのご相談も多くあります。中には、「自分が親にほめられて来なかったから、ほめ方がわからない」と感じている方も多くいらっしゃいます。

具体的なほめ方や、ほめるポイントを見つける視点を知ることで、日常生活での幸せなコミュニケーションを増やす参考になると良いなと思います。

1. 努力(プロセス)をほめる

結果ではなく過程に注目してほめる、というのはよく言われるポイントです。

例えば、テストで高得点を取った場合に「すごい、100点だね!」と結果だけをほめるのではなく、「一生懸命勉強していたもんね。良い結果が出てよかったね!」と努力を認める言葉をかける方法が考えられます。努力やプロセスをほめることにより、子ども自身も「がんばるといいことがあるな」と思えたり、努力の重要性を理解することにつながります。努力に意味があると思えると、自ら進んで挑戦する意欲も持ちやすくなります。

2. 具体的にほめる

「すごいね!」や「偉いね!」だけでなく、具体的にどこが良かったのかを伝えるとより効果的です。

例えば、絵を描いた子どもに対して「この色使いがとても素敵だね」や「細かいところまでよく描けているね」と具体的にフィードバックすることで、「ちゃんと見てもらえた」と感じることも多いでしょう。

3. タイムリーにほめる

ほめるタイミングも重要です。子どもが何かを成し遂げた直後にほめることで、その行動がポジティブなものとして記憶に残りやすくなります。

行動の心理学では、すぐにほめることを「即時強化」といい、物事を覚えたり身につけたりするために一番効果があるほめ方と言われています。

例えば、家のお手伝いをした直後に「手伝ってくれて本当に助かったよ」とすぐに感謝の言葉を伝えると、時間が経った後「朝はありがとう」「昨日は助かったよ」と伝えるよりも、また手伝いたいという気持ちが芽生える可能性が高いです。

4. 正直であること

ここまで具体的な視点やほめ方を書きましたが、一番大切なのは「無理にほめる必要はない」ということです。

例えば、スポーツの試合で負けた子どもに対して、「今日は相手が強かったね。でも、一生懸命走り続けていたのがすごく良かったよ」と真実を伝えつつ、ポジティブな面をほめることもできます。

大人が無理をしてほめると、それが表情やしぐさの違和感となって子どもに伝わることもあります。大人同士でも、明らかなお世辞や社交辞令を言われた場面を想像していただけると、素直に喜べない気持ちがわかるかもしれませんね。

5. 内面的な成長をほめる

子どもの行動や結果だけでなく、内面的な成長に注目すると、今まで見えて来なかった「ほめたいポイント」が見えてくるかもしれません。

例えば、友達に親切にした子どもに対して「優しい気持ちで友達を助けられたこと、とてもかっこいいよ」と伝えることもできます。日常生活のワンシーンで、テストの点や試合の結果のように目立つものではありませんが、人間関係の中での思いやりは生きていく上で大切なものだと言えます。

具体的な例

では、実際にどのようにほめるか、具体的な例をいくつか挙げてみましょう。

「毎日少しずつ宿題をしていたから、今日もスムーズにできたね。毎日コツコツ頑張っているね」

「今日の練習、最後まで諦めずに頑張っていたね。特にあのドリブルのスピードが速くなってきたのが見てて分かったよ。」

「友達におもちゃを貸してあげるなんて、とても優しいね。貸してあげたから、みんなで楽しく遊べたよ、ありがとう」

終わりに

子どもをほめることは、単なる励まし以上の効果があります。

カウンセリングの考え方の1つに「コンプリメント(ほめる、敬意を表す)」というものがありますが、子どもに限らず、「他者に認められる、ほめられる」ことで自信がついたり、意欲が増したりするものです。

適切なほめ方をすることで、子どもも自信を持ち、挑戦する意欲を持つことができます。

ぜひ、日常生活の中で意識してみてください。子どもの良い変化がもっと見えるようになるかもしれません。