セーフティプレイス: 心の安全基地の作り方

日々の生活の中で、仕事のことや学校のこと、人間関係など、ストレスや不安を感じることは誰にでもあると思います。

そんな時に、心の中に「落ち着ける場所」を持っておいて、いつでもその場所をイメージしてリラックスできるとしたら、少し安心して色々なことにチャレンジできるのではないでしょうか。

「落ち着ける場所」や「落ち着ける場所のイメージ」を、「セーフティプレイス(安全な場所)」と表現したりします。

セーフティプレイスとは?

セーフティプレイスとは、「自分の心が安心できる場所や状況」のことです。

必ずしも実在する場所(たとえば自分の家や部屋等)である必要はなく、頭の中でイメージするだけで、自分を落ち着かせることもできます。

例えば、子どもの頃によく行った公園、家族との楽しい時間、想像上の草原や大自然の中等、心がホッとする場所や場面があれば、それがセーフティプレイスです。

セーフティプレイスの作り方

セーフティプレイスを作るには、まず自分が「安心できる場所」「リラックスしている状況」を思い浮かべてみてください。

何か思い浮かぶでしょうか?

布団に包まれた体の感覚や、川のせせらぎや音楽などの音、自分の部屋のイメージなど、人によって思い浮かべやすい要素は様々です。

実践しやすいように、自分だけの心の安全基地を作るヒントをまとめてみたいと思います。

ゆっくり落ち着ける場所で取り組んでみてください。

1. リラックスできる時間と場所を見つける

まずは、数分の間でも良いので落ち着ける環境を確保してください。

静かな場所や時間帯を選んで、スマホなど通知がくるようなものが気にならないようにします。

2〜3回深呼吸をし、心を落ち着けます。

「気持ちが落ち着いてる」と頭の中で数回唱えることも有効です。

忙しい日常生活を送っていると、こんな静かな自分だけの時間は意識しないとまずありません。この時間を取るだけでも、リラックスしてストレス軽減できると思います。

2. 安心できる場所をイメージする

気持ちが落ち着いてきたら、頭の中にあなたが安心できる場所や状況を思い浮かべてください。目を閉じた方がやりやすければ、軽く目を閉じましょう。

安心できる場所は、過去の記憶でも、想像した場所でも構いません。

例えば、海の音が聞こえる静かな浜辺、大好きな人と過ごす時間、温かい毛布に包まれたベッドなど、自分が心地よく感じるイメージを描いてみましょう。

3. その場所にいる自分を感じる

イメージした場所にいる自分を感じてみてください。空気の温度や匂い、周りの音、目に映る景色などを具体的に想像します。

まるでその場にいるかのように感じることができると、深くリラックスすることができます。

人によっては、視覚的イメージが得意な人、音や感覚のイメージが得意な人など得意不得意がありますので、「音が聞こえないとダメだ」「匂いまではイメージが湧かないぞ…」と焦ったりせずにゆったり取り組んでみてください。

「こうでなければダメ」という緊張や不安は、リラックスの状態とは反対の感情です。

自然と湧いてきたイメージを膨らませて、自分が想像しやすいもの(見た目、感覚、音、匂い等なんでも)を感じていくようにすると良いかもしれません。

4. 繰り返し練習する

セーフティプレイスは、繰り返しイメージすることで、よりイメージしやすくなり、効果が得やすくなります。

毎日の中で、寝る前の5分間を使って「安心な場所」をイメージして感じることを習慣にすると、自然と練習にもなります。

慣れてきたら、緊張や不安を感じた時に、この場所を思い浮かべて、心を落ち着ける練習をしてみましょう

(寝る前に練習することで、リラックスして眠りにつけるので、睡眠の質が良くなる嬉しい効果もありますよ。)

さいごに

セーフティプレイスを心の中に作っておくことで、不安や緊張に襲われた時に自分自身の心を守る手段が1つ増えます。

カウンセリングの中でも、辛い思い出やトラウマについてお話しする時、話しながらとても辛かった当時に戻ってしまったように不安や恐怖など強い感情が湧いてくることがあります。

そのような場合にも、事前にセーフティプレイスを作っておくことで、一旦お話を休憩して気持ちを落ち着けることができます。

「怖くなったら、セーフティプレイスに逃げ込めばいい」と思えるからこそ、辛い記憶や感情とも向き合う勇気が湧いてくると言えるかもしれません。

自分に合ったセーフティプレイスを見つけて、ぜひお気に入りの場所でリラックスしてみてください。