こんにちは。
今日は「発達障害」と「発達性トラウマ」の違いについてお話しします。
この二つは名前も症状も似ているところがあるため混同されがちですが、それぞれ異なる背景があります。具体例を交えて、わかりやすく整理してみたいと思います。
発達障害とは?
発達障害は、生まれつきの脳の特性によって引き起こされる障害です。代表的なものには、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などがあります。これらは、遺伝的要因や脳の発達の過程での異常によって生じます。
例:太郎くんの場合
太郎くんは、小学校に入ってから授業中にじっとしていられないことが多く、先生の指示を聞き逃すことが頻繁にあります。また、友達とのコミュニケーションもうまくいかず、時には衝動的な行動をしてしまうことがあり、病院ではADHDと診断されました。これは、太郎くんの脳の機能が他の子供とは異なっているためで、生まれつきの特性と言えます。
発達性トラウマとは?
一方、発達性トラウマは幼少期に経験した虐待やネグレクト(育児放棄)などの深刻なストレスによって引き起こされる心理的障害と言われています。これらの経験が脳の発達に悪影響を及ぼし、情緒や行動に問題を引き起こすことがあります。
具体例:花子さんの場合
花子さんは、小さい頃に家庭内での虐待を経験しました。その影響で、他人を信頼するのが難しく、いつも緊張している様子が見られます。また、学校では集中力を欠き、感情のコントロールがうまくできないことがあります。花子さんのこれらの問題は、幼少期のトラウマが原因で、発達性トラウマではないかと診断されました。
違いをまとめると…
発達障害
⚫︎生まれつきの脳の特性による。
⚫︎自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などが代表的。
⚫︎遺伝的要因や脳の発達の異常が原因。
発達性トラウマ
⚫︎幼少期の虐待やネグレクトなどの深刻なストレス体験が原因。
⚫︎トラウマによる脳の発達の影響で情緒や行動に問題が生じる。
まとめ
どちらも支援が必要ですが、アプローチの方法は異なる場合があります。発達障害の場合、特性に応じた環境の調整や専門的な療育が効果的です。一方、発達性トラウマの場合は、まずは安全な環境を整えることが大切であり、トラウマの影響を軽減するための心理療法も必要に応じて取り入れることが重要だと考えられます。
一見「発達障害では?」と思われる方の行動の背景には、様々な事情が存在しています。発達障害や発達性トラウマに関わらず、一般的にみて問題行動が多いと思われる状況には、様々な要因(本人の特性、家庭環境、対人関係、性格、身体の不調などなど……)が複雑に関係しあっていて、1つのことが原因だ!と言えない場合も多いと考えることが大切だ思います。
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