ベビーカーの向き
ベビーカーにもさまざまな種類があり、ゆったり眠れるベッドのようなもの、椅子に近い角度になるもの、ベビーカーを押す大人と向き合うタイプや、赤ちゃんが前を向いて座るもの、どのように選べば良いのか悩む親御さんも多いのではないかと思います。
今回は子どもの発達の視点から、ベビーカーの向き(向かい合わせと前向き)についてどんなことが言えそうか考えてみたいと思います。
赤ちゃんから見た世界
赤ちゃんには「いないいないばあ」をすると喜んで笑顔になる、というようなイメージをなんとなく抱いている方も多いのではないかと思います。
一般的に、いないいないばあで笑うようになるのは、個人差もあるけれど生後5~6か月ころと言われています。それはなぜでしょうか?
理由としては、ちょうど5~6か月前後になってくると、
「いないいない」と養育者(両親や保育士など身近な大人)の顔が隠された時にも、「手の向こう側にお母さん(お父さん・先生)がいるんだな」と思えるようになってくると言われています。
隠れていて目の前から見えなくなったものが、ちゃんとそこにあると分かることを、ピアジェの発達段階の理論の中では「対象の永続性」を獲得したと表現しています。
対象の永続性がまだ身についていないと、目の前から見えなくなったものは「無くなった(消滅した)」と認識されているようです。
そう考えると、2、3ヶ月の赤ちゃんに「いないいないばぁ」をしても、キョトンとした顔をしている理由がわかるような気がします。
いつ頃前向きにすると良いのか
さて、ここまでで、6ヶ月くらいの赤ちゃんは一旦目の前から見えなくなった人や物もちゃんとそこにあるとわかってくるというお話をしました。
ベビーカーに前向きに座ると、ベビーカーを押している大人の顔は見えなくなります。
「見えなくなったら、いなくなっちゃった!」と認識する段階にいる赤ちゃんの場合、前向きに座るとお母さん・お父さんが見えなくなった不安で泣き出す場合も多いかもしれません。
反対に「見えなくてもそこにいるな」と認識できていれば、安心して外の世界へ興味を示して、キョロキョロ忙しく眺めているのではないかと思います。
一つの基準として、「いないいないばあ」でキョトンではなく、楽しそうに笑う様子があることや、大人が物陰に隠れるとじっと隠れたあたりを見つめる様子が見られたら、試しに前向きに乗せてあげるのも良いのではないでしょうか。
6ヶ月〜、ちょうど「お座り」をし始める赤ちゃんも出てきます。
そうすると、前向きに座ってベビーカーに乗る形に落ち着くことが多いですね。
心の発達と、体の成長が重なり合って、うまく進んでいることが分かる一つの例だなと感じます。
個人差について
大人に色々な性格・個性の人がいるように、子どもの発達には個人差が大きく、十人十色です。
「何ヶ月から」といった表現はあくまでその中の一例に過ぎません。
インターネットの情報に不安になり過ぎず、一人一人の生活の様子や表情を見て、対応を考えていくゆとりがもてることが理想だと思います。
不安に感じること、心配なことがあれば、カウンセリングや公的な相談窓口を活用していただければと思います。