チック症状
子どもの様子を観察していると、「あれ?最近まばたきが多いな」「風邪をひいていないのに、鼻を啜るのがクセになってる?」と特定の動作や音の繰り返しが気になる場面があるかもしれません。
急に起こる、素早く、反復的で不規則な動作や発声のことを「チック症状」と呼びます。チック症は子供に多く見られますが、成人にも発症することがあります。
一時的なものも含めると、10〜20%の子どもにみられるとも言われており、決して珍しい症状ではありません。
以下に、チック症状の概要と対処方法について整理してまとめたいと思います。
チック症状とは
1. チックの種類
運動チック:体の動きに現れるチックのことを指します。例えば、目をパチパチさせる瞬き、(話の流れと関係なく)しかめっつらをする、肩をすくめる、頭を振るなど、短時間で繰り返される動作がみられます。
音声チック:例えば、(風邪をひいていないのに)咳払いや鼻をすする音を出したり、吠える、叫ぶ、特定の言葉を繰り返すなどの音声で現れる症状を指します。
2. チック症の分類
一過性チック障害:チック症状が1年以上続かずに消失するもの。幼児〜小学校低学年くらいに多くみられ、数ヶ月持続していつのまにか消失していきます。
慢性チック障害:運動チックまたは音声チックのどちらかが1年以上続くもの。
トゥレット症候群:1つ以上の音声チックと、複数の運動チックが同時に起こり、一年以上続くもの。
3. 発症の背景
チック症の原因はまだ詳しくわかっておらず、さまざまな要因が影響し合っていると理解した方が良さそうです。
同じ家庭内に見られやすい傾向があることはわかっていますが、遺伝的要因だけではなく、環境的要因や本人の気質的要因も関係すると考えられています。
チック症状の対処方法
1. 環境調整
ストレスの軽減:ストレスが症状を悪化させることがあるため、リラックスできる環境を整えたり、くつろげる時間を確保することで症状が和らぐことがあります。
規則正しい生活:十分な睡眠やバランスの取れた食事を心がけ、生活リズムを整えることはチックだけではなく全般的な健康にとって必要な要素と言えるでしょう。
2. 行動療法
ハビット・リバーサル(習慣逆転法):チックを抑制する代替行動を学ぶ方法です。例えば、瞬きをしたくなったら「目を見開く」など、チックとは同時にできない動作をすることを練習します。「やらないように我慢する」のではなく「かわりに〇〇してみよう」という行動を設定して、実際に練習していきます。
認知行動療法(CBT):本人にとって何がストレスや不安につながっているかを理解し、ストレスになっていることから距離を置いたり、不安を下げるために何が必要かを検討したりします。
3. 薬物療法
抗精神病薬や一部の抗てんかん薬などが、チックの頻度や強度を抑える目的で使用されることがあります。
4. 周囲のサポートと心理教育
教育機関との連携:学校などでの理解を深め、適切なサポートを受けられるようにすることで本人の負担を減らすことができます。
家族や友人の理解:周囲の理解があることで、例えばチック症状に対して周囲が指摘したり本人に理由を尋ねたりすることがなくなるため、症状の悪化を防ぐ効果があると言えます。
5. リラックス法
リラクゼーション:緊張を和らげるため、深呼吸(腹式呼吸)や、自律訓練法など、本人にあった実践しやすいのリラックス法を取り入れることもストレスへの対処として有効です。
運動や趣味:本人の好きなことや打ち込める活動は、ストレス発散やリラクゼーションにつながる大切な要素と言えます。
まとめ
チック症状は多くの場合、子供の成長とともに自然に軽減することが多いですが、症状が持続したり日常生活に支障をきたす場合は、専門家に相談して必要な対処を考えていくことが重要です。
本人にあった、適切な対処をしていくことで、症状をコントロールし、学校で落ち着いて過ごしやすくなるなどよりよい生活を送れるようになります。