セルフトークとは、自分自身と対話すること、つまり自分の頭の中でつぶやく独り言のことを指します。
セルフトークは私たちの日常生活において大きな影響を与えていると言われており、ポジティブなセルフトークは自信やモチベーションを高めるのに対し、ネガティブなセルフトークは自信喪失やストレスの原因となることがあります。
もともとスポーツ心理学で盛んに研究されており、スポーツ選手がプレッシャーにうまく対処して良いパフォーマンスができるようにするためにも活用されています。
ポジティブなセルフトークの例
ポジティブなセルフトークは、自分を励ましたり、前向きに考えたりすることに焦点を当てています。
わかりやすいように、いくつか例を挙げてみたいと思います。
●試験前に「この試験は難しいけど、しっかり準備してきたから大丈夫。ベストを尽くせばいい結果が出るはず」と自分に言い聞かせる。
●プレゼンテーション前に「練習もしたし、資料も完璧に準備した。自分の意見を自信を持って伝えよう」と自分に言う。
ネガティブなセルフトークの例
一方、ネガティブなセルフトークは自分を否定したり、悲観的に考えたりすることに焦点を当てています。
●試験前に「こんなに難しい問題、絶対に解けない。どうせ失敗するに決まっている」と自分に言い聞かせる。
●プレゼンテーション前に「うまく話せる自信がないし、みんなに笑われるかもしれない」と自分に言う。
このようなネガティブなセルフトークは、ストレスや不安を増加させ、パフォーマンスを低下させる場合があります。
まとめ
セルフトークは私たちの思考や感情、そして行動に大きな影響を与えています。
頭の中での独り言を正確に回数を数えることは難しいですが、人間は1日に数万回セルフトークをおこなっていると言われています。
意識してポジティブなセルフトークを行うことが重要です。
しかし、なんでもかんでもポジティブに置き換えることや、現実とかけ離れた、自分でも納得できないセルフトークを無理にすることは効果があるのでしょうか?
カウンセリングのお仕事をしていると、大前提として「ネガティブは良くない」「ポジティブにならないと」というなんとなくの感覚をお持ちの方が多いような気がします。
そのような場合でも、よくよくお話を伺うと「ネガティブ思考」が良い仕事をしていることもあります。
ネガティブ思考の強みについて、考えたことはあるでしょうか?
ネガティブ思考は悪者か?
ネガティブ思考で悩んでいる方の中には、お仕事で大変素晴らしい成果を上げている方もいらっしゃいます。そして、そのお仕事ではネガティブ思考が有効に働いていることも多いのです。
例えば、「危機管理」や「品質管理」が必要な業務では「何か異変はないか」に気づく力(=マイナス面に気づく力)はとても大切です。
生活の中でも、車の運転で言われる「かもしれない運転」の考え方はまさにネガティブ思考の有効活用でしょう。
ポジティブなセルフトークを習慣化することは、自信やモチベーションを高め、様々な挑戦に対して前向きな姿勢を保つことに役立ちます。
そして、ネガティブなセルフトークが多いけれど急にポジティブに変換するのは難しいという方は、「ネガティブ思考に助けられたことってあるかしら?」「ネガティブだけど…慎重派とも言えるかも」等、今の自分自身や過去の中からちょっとでも「頑張ってるな」「いいところもあるな」と思える要素を見つけてみることから始めてはいかがでしょうか。
自分ではなかなか思いつかない時は、自分がほっとできる人やいつも寄り添ってくれる人をイメージして、「その人ならなんて言ってくれそうか?」を考えると、視点を切り替えて捉えやすくなるためおすすめです。
どうしても自分の考え方のクセで辛い時は、カウンセリングなどの専門家を上手に活用することも一つの手段です。
ネガティブ思考も上手に活用して、「バランスのとれた見方や考え方ができる」という柔軟な状態が健康と言えるかもしれません。