「てんかん」と一括りになっていても、その具体的な症状はさまざまです。
てんかん発作は以下のようにいくつかの種類に分類されます。
1.焦点発作(部分発作)
- 単純部分発作:意識は保たれたまま、一部の筋肉や感覚に影響が現れる発作。
- 複雑部分発作:意識が混濁し、自動的な動作(口をもぐもぐ動かす、無意味に歩き回るなど)が見られる発作。
2.全般発作
- 欠神発作:数秒間意識を失うが、体のけいれんなどの目立った症状は少ない発作。
- 強直発作:筋肉が急に硬直する発作。
- 間代発作:体の一部または全身がけいれんする発作。
- 強直間代発作(大発作):体が硬直し、その後全身がけいれんする発作。
- ミオクロニー発作: 短い間に筋肉が一瞬ピクッとけいれんする発作。
- 脱力発作: 筋肉の力が急に抜けてしまい、倒れることがある発作。
これらの発作は、それぞれ発作の発生する脳の部位や症状の違いによって分類されています。
なぜ脳の部位によって症状が違うのか
てんかん発作の症状が発作の起こる脳の部位によって異なる理由は、脳の各部位が異なる機能を担当しているからです。
簡単に脳の各部位の機能を見てみましょう。
脳の部位とその機能
- 前頭葉: 運動制御、計画、判断、感情表現などを担当。前頭葉で発作が起こると、異常な運動や行動の変化が見られることがあります。
- 頭頂葉: 感覚情報の処理や空間認識を担当。頭頂葉で発作が起こると、異常な感覚や位置感覚の喪失が見られることがあります。
- 側頭葉:記憶、言語理解、聴覚情報の処理を担当。側頭葉で発作が起こると、記憶の混乱や幻聴、言語理解の障害が見られることがあります。
- 後頭葉: 視覚情報の処理を担当。後頭葉で発作が起こると、視覚の異常や幻視が見られることがあります。
発作の症状と脳の部位の関連
- 運動症状:前頭葉の運動皮質で発作が起こると、体の特定の部分のけいれんや異常な動きが発生します。
- 感覚症状: 頭頂葉で発作が起こると、異常な感覚(しびれ、熱感など)が発生します。
- 自律神経症状: 側頭葉の内側(海馬や扁桃体)で発作が起こると、自律神経の反応(心拍数の変化、発汗など)が見られます。
- 視覚症状: 後頭葉で発作が起こると、視覚の異常(光が見える、視野欠損など)が発生します。
このように、発作の起こる部位によってその部位が担当する機能が影響を受けるため、さまざまな発作の症状があります。
けいれんする、倒れるなどのイメージが強いかもしれませんが、それ以外の発作もあることを知っていると、症状の早期発見・病院受診につながります。
当てはまることや心配なことがあれば、一度受診して専門家に診てもらうことをおすすめします。
お困りがあるけれど何科を受診すればよいか分からない、服薬治療をしているけれど気持ちの整理をしたり、これからの生き方を考えたいという場合に、カウンセリングや心理療法を併用して受けることも可能です。
病気や症状の有無にかかわらず、その人らしく人生を生きるためのお手伝いができればと思います。